あかがねミュージアム

JR新居浜駅のすぐそばにある「あかがねミュージアム」をご紹介いたします。

構想から40年(!)をかけて2015年に完成した「あかがねミュージアム」は多目的ホール、美術館、創作スペース、スタジオ、ステージ、太鼓台ミュージアム、カフェなど様々な機能を有する総合文化施設です。

町のランドマーク的な建物の外観は、曲線を用いた銅板部分と外壁から持ち出すように取り付けられた金網製のカゴに石をつめた蛇籠(じゃかご)がとても印象的です。


新居浜市は古くから別子銅山で大量の銅が産出され市の発展の起源にもなっており、あかがねミュージアムには銅板がふんだんに使用されています。(石は大洲の青石のようです)

銅板は菱葺きという葺き方で、約50センチ角の銅板が全体で22,500枚使用されています。曲線部分は図面でも分かりづらい部分があり、最終的には現場で職人さんが一枚ずつ加工したそうです。まさかの手作りなんですね・・・。

また銅板は表面処理をしていないので20~30年かけて銅色は緑青色(ろくしょういろ)に変化するそうです。神社の青い金属屋根と同じやつです。

施設内には銅板がどのように施工されているのか、モックアップも展示されています。

元の銅板はこんなに輝いていたんですね。


それでは全体のプラン・ゾーニングをみてみましょう。

同施設のHPからフロアマップを拝借いたいました。地下一階、地上二階、その間にGL(グランドライン)があります。一階の平面図をみると4方に伸びたアプローチから施設にはいることができるようになっています。また中央には吹き抜けがあることから中心がわかりやすく、表裏がない建物ということがわかります。

4つのエントランスにつながるアプローチの一角。

エントランス真上の二階は視界が抜けるざっくりとした眺望スペース。


それでは内部に入っていきます。

中央には一階からGLに降りる半円形の階段と二階へのアクセスになる空中階段は吹き抜け空間を横断します。この中央の吹き抜け空間から各スペースにゆるやかにつながっていきます。

半円形の両端が階段であり、残りは階段2段分で座れるようになっており中心の屋内ステージに向かっている形になっています。

ステージの裏はそのまま交流ロビーとカフェに直接つながります。(ランチ食べればよかった・・・)

多目的ホールにつながる通路。大洲の青石がすぐ外に敷き詰められています。

GLの屋内ステージ袖から見る吹き抜け空間。様々なスペースがいろいろな方向から繋がっていることがわかります。

空中階段の正面です。間接照明の効果も相まって浮いているようなデザインになっています。

吹き抜けを上から見下ろすとこんな感じ。

二階。吹き抜け空間に面する開口によってしっかりと採光が確保されています。ちなみに南西向きです。

吹き抜けの開口の外部はテラスになっています。

新居浜名物の太鼓台も展示されています。


と、ざっくりではありますが簡単にご紹介させていただきました。

ここではお伝えできていない機能・施設もたくさんあります。

全国的に公共建築も複合型のものが増えています。この「あかがねミュージアム」も様々な機能をもちながら新しい時代に新居浜の地域の方々に開かれ様々な使われ方をして馴染んでいくのだろうな~と思いました。


あかがねミュージアム(新居浜市総合文化施設・美術館)

設計:日建設計・トータルメディア開発研究所JV

所在地:愛媛県新居浜市坂井町2丁目2−8−1

構造:鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造

竣工:2015年7月

公式サイト:http://www.akaganemuseum.jp/

えひめ建築めぐり

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