伊佐爾波神社

道後温泉本館からほど近く、135段ある石段を上がった先に社殿を構える伊佐爾波神社(いさにわじんじゃ)。1667年に建立され国の重要文化財に指定されている色鮮やかな伊佐爾波神社は、日本に三つしかない八幡造(はちまんづくり)の社殿を有しています。

八幡造とは何でしょうか?

古典的な神社建築にはいくつかの決まった様式がありますが、八幡造とは2棟の建物を前後に連結させてひとつの社殿としたもの。横から見ると、二つの屋根が連なってM字型をしているのが分かりますが、これが八幡造の最大の特徴です。このM字の谷の部分の雨仕舞が大変そうですが、この部分に樋を通して流れる雨を受けているようです。


色鮮やかで凝った意匠は、日光東照宮にみるような桃山文化の様式を今に伝えています。

唐草文が描かれた海老虹梁(えびこうりょう)は色鮮やか。


いたるところに面白い装飾が隠されているのも見どころです。

これは、楼門の屋根を支える金剛力士(天邪鬼)。四隅で屋根を支えています。


本殿や廻廊には数多くの「蟇股」(かえるまた)があり、ここに描かれたものも様々。こちらに描かれているのは、時宗の開祖であり、伊佐爾波神社に近接する宝厳寺にゆかりある一遍上人の姿といわれています。神社の中に仏教にちなんだ装飾がみられるのも面白いのですが、これは神仏習合の名残でしょう。

蟇股以外にも、八幡宮の神使(しんし:神の使い)であるハトや、日本書紀の物語にまつわる鹿の彫刻、奉納され廻廊に掲げられている絵馬など、境内を巡ると面白い発見がたくさんあります。



伊佐爾波神社

  • 所在地:愛媛県松山市桜谷町173
  • 1667年建立

えひめ建築めぐり

愛媛・松山を中心に、グッとくる建築や街並み、街の活動などを紹介します。 運営:瀬戸内アーキテクチャーネットワーク

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