愛媛民藝館、西条栄光教会・幼稚園・牧師館 「水の都の建築探訪ツアー」レポート(2)
「水の都の建築探訪ツアー」レポートの続きです。以前の記事はこちら。
愛媛民藝館、西条栄光教会・幼稚園・牧師館 「水の都の建築探訪ツアー」レポート(1)
牧師館を後に、建築探訪ツアーは愛媛民藝館(1967年)へ戻ります。
愛媛民藝館当時の日本民藝協会長・倉敷レイヨン(現:クラレ)社長大原総一郎の呼びかけで地元企業協力の基、設立されました。
「愛媛民藝館は、当時の日本民藝協会会長大原總一郎の提唱により設立された四国唯一の民藝館です。」とリーフレットに記載されています。ちなみに高松の栗林公園内に讃岐民芸館がありますが、民藝館とは異なるようです。
民藝館のファサード。窓格子上の庇は「浦辺庇」とも呼ばれ、他の浦辺建築にも見受けられる統一されたデザインや正方形の黒い瓦板をタイルのように使用し、角度をつけることで水切りの機能も果たしています。
時間性や場所性を奪ったとの批判も受ける近代(モダニズム)建築とは一線を画すデザインです。
民藝館と郷土博物館を隔てるエントランスホール。アールの板張り天井、真壁風のデザインと漆喰壁、伊予の青石敷きの土間。近代(モダニズム)建築の代表的な素材である鉄・ガラス・コンクリートとはかなり異なることがわかります。
民藝館の空間を象徴するトップライトがある吹き抜け部分です。トップライトに施されている装飾(丸5つで花模様)は何を表しているか説がいくつかあるみたいですが、詳細は不明のうようです。その他全体的に丸みを帯びたデザインや、出隅の面の取り方など「手触りが良さそう」な、まさに民藝的な建築デザインなのかな~と感じました。
建物模型。屋根についたマカロンみたいななのがトップライトです。
2階から見た吹き抜け空間とトップライト。
民藝に関わる色々なものが展示・販売されています。
建物反対側へ移動して「西条郷土博物館」へ。こちらに展示されている様々なものは田中大祐氏を中心とする民間人から寄贈品のようです。
存じ上げなかったのですが、調べるとかなりユニークな方のようです。
照明器具にも花模様!
郷土博物館の手すりのデザインは日本のお城の様式が参照されており、民藝館とはわざと異なるようにし、施設の特徴をしっかりデザインしています。他にも郷土博物館と民藝館の細やかな差異を探すと面白そうですね。
おまけ
愛媛民藝館と郷土博物館の見学を終えるとお待ちかねランチタイムです!
栄光教会牧師館の集会室でHAZUKIさんのおいしい特性弁当をいただきました!
そしてイベント参加の景品には特製浦辺マスキングテープが配布されました。4パターンあるようですが、私は「無限・倉敷アイビースクエア」でした。(ネーミング面白い)
ちなみにこのマスキングテープは2020年に開催された浦辺鎮太郎展で用意されたもののようです。他は何があったのか気になります。。
イベント終了後は西条の街(いとまちマルシェ、伊曾乃神社、保国寺)を散策して帰路につきました。
当イベントは建築のことだけではなく、西条のことや歴史のことも知れるとてもいいイベントでした。催し物の開催が難しいご時世ですが、今後も是非続けてやってほしいと建築ファンからは切に願います!
それにしても久しぶりの建築探訪面白かったな~!
おしまい
愛媛民藝館・西条郷土博物館
- 設 計:浦辺鎮太郎
- 所在地:愛媛県西条市明屋敷238−8
- 構 造:鉄筋コンクリート造、木造
- 竣 工:1967年
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