伊丹十三記念館
松山ICを降りて直ぐ、アクセスしやすい場所に建築家 中村好文氏が設計した伊丹十三記念館があります。中村氏は学生時代から伊丹十三のファンだったようです。
国道側から見た様子。離れて見ると黒い箱のように感じますが
近づくとかなりのインパクト。肌理の細かい家具のような小さな住宅を設計することで知られる中村氏にとっては規模の大きな建物です。
黒い外壁は焼杉です。近くで見ると幅や長さがランダムなものが張られていることがわかります。地元愛媛の材木屋さんで生産されたものが使用されています。
少しもぐるようにエントランスに向かいます。外からは中の様子がわからない閉じた建築なので、中の様子がどのようになっているのだろうと期待を抱きます。
中に入ると受付とショップが配置されていますが、真っ先に目に入るのは中庭です。中村氏は周辺の環境とは切り離し建物を内に開き、ヨーロッパの修道院建築のような回廊式の建築をモチーフにしていると語っています。
常設展示室入口には笑顔の伊丹十三が優しく出迎えてくれます。展示室は、マルチな才能を発揮した伊丹十三を紐解く名前にちなんだ13の展示ブースに分かれています。
例えば料理の展示にはタイルが貼られていたり
乗り物の展示には車のボディのごとく焼付塗装された装飾が施されていたり
こんな面白い展示も。
展示物も設計者である中村氏が8万点もの資料の中から全て選んで、展示の仕方まで考えられています。
それにしても内容も面白い。伊丹十三を知っている人は勿論、知らなくても「こんなユニークな人がいたんだ」と楽しめる内容になっています。
常設展示(撮影可)と企画展示(撮影不可)を見終えて
扉を開けるとそこには開かれた中庭が。
展示物を見終えた後は余韻に浸りながらベンチで座っておしゃべりしてもよし、中庭から入れる施設内の喫茶店「タンポポ」(映画タイトルより)に入ってお茶してもよし。
展示見て「はいおしまい」ではない、建築家の心遣いを感じられる構成になっています。
ここまでざっくり紹介してきましたが、中村氏らしい細やかな芸が建物全体に散りばめられています。
行くたびに発見がある伊丹十三のような遊び心がある建築を是非訪れて見てください。
(ほぼ日で特集もされていました。)
また開館記念日である5月中旬には普段は公開されていない収蔵庫ツアーも開催されています。
ちなみに伊丹十三記念館のすぐ隣には世界的な建築家の伊東豊雄氏が設計したオフィスもあります。
伊丹十三記念館
- 設計:中村好文/レミングハウス
- 所在地:愛媛県松山市東石井1-6-10
- 用途:個人記念館
- 構造:鉄筋コンクリート造 一部鉄骨造
- 階数:地上2階
- 竣工:2007年5月
- 建築面積:723.49m2
- 延床面積:860.90m2
- 利用案内:開館時間 10:00~18:00(入館は17:30まで) 休館日 毎週火曜日(祝日の場合は翌日)
公式ウェブサイト http://itami-kinenkan.jp
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