愛媛県総合科学博物館
愛媛県東予の新居浜市にある愛媛県立総合科学博物館を紹介します。
1994年竣工。設計は黒川紀章建築都市設計事務所。
愛媛県の博物館としては”南(宇和町)の歴史文化博物館、東(新居浜市)の総合科学博物館”として建設されました。
入り口側からの建物全景。高さ38mのガラス張りの円錐タワーがシンボリックな印象を与えます。
全体のマップ。図書館等を含む複合施設です。建物は〇、△、□、の形を使い哲学的でありながら、幾何学的であり、完成当時の近未来的な雰囲気や斬新さがデザインに反映されています。
建物全体を見て回り思ったことは、斜めのデザインで統一されているということです。
入口の自動ドアは円錐の斜辺に合わせて斜めのドア。
風除室から室内に入る自動ドアも斜めに開きます。
入り口から中に入るとガラス張りの円錐タワーの吹き抜けに面し螺旋スロープが目に入ります。
頂点付近の様子。ピン構造でありながら一転に集中する部分は複雑な幾何学模様にも見えます。(螺旋スロープは下り専用なので、展示場を通り最上階へ行くことになります。)
最上階から下を見下ろすと、一階ホール中央に螺旋階段で地下に降りれることがわかります。(階段中央は太陽系の円が描かれています)ここから地下を通ってプラネタリウムのドームに行くことができます。(結構高いので高所恐怖症の方はお気を付けください・・・)
こちらがプラネタリウムのドーム。水辺に浮かぶゴルフボールのようです。光が当たりグラデーションがきれいでした。ちなみに完成当時は世界最大のプラネタリウムでした。(現在は名古屋市のプラネタリウムが世界一のようです)
プラネタリウムまでは見てませんが、展示場は自然、環境、生物、天文、産業、技術の各ブースに分かれそれぞれ見応えがあり、建築抜きにしても十分楽しむことができます。(そりゃそうか)
15分おきに動く大きな恐竜は大迫力で、泣き出す子供も多いようです。
ピクトサインの男女も少し斜め。
図書館前は斜めではなく曲線のデザイン。ツヤがある仕上げ材が多く使われ光が反射する場面が多くありました。
曲線の前端は半月状で斜めのエッジがかなり効いています。(先端恐怖症の方はお気を付けください・・・)
建物裏側からの景色。様々なボリュームの建物が並んでおり、斜めのデザインを大いに感じることができます。
斜めの建築といえば、松山市の中心部に安藤忠雄設計の「坂の上の雲ミュージアム」があります。
坂の上の雲ミュージアムは三角形であり、設計した安藤忠雄は「三角形という難しい形に挑戦してほしい」と語っていました。
施工をする上では水平垂直な建物が比較的容易であり、斜めや曲線は難しいと言われます。
日々挑戦し進化する科学技術を展示する施設である建物を、あえて斜めや曲線が多い挑戦的な建物にしたのではないかと感じました。
そんな事を考えていると展示物以外に建物のデザインに注目する楽しみ方もあるんだなと改めて思いました。
愛媛県総合科学博物館
■設計:黒川紀章建築都市設計事務所
■所在地: 愛媛県新居浜市大生院2133-2
■構造:SRC造
■規模:地上6階、地下1階
公式サイト http://www.i-kahaku.jp/
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