今治ラヂウム温泉
今治市役所や商店街からほど近い共栄町に突如として現れる異様な建築。かつて公衆浴場として運営されていた「今治ラヂウム温泉」です。
この建築がいつ建てられたのかは定かではありませんが、1927年(昭和2年)にはこの地にあったことが確認されています。
今治ラヂウム温泉の創業者 村上寛造は材木商で、明治末期からこの一帯を干拓して遊園地や店舗付住宅、映画館などを建てたのだそう。この建物もそれらの中のひとつです。鉄筋コンクリート造の建物ですが、三角屋根の建物3階部分(1967・昭和42年)など、建設後も増改築が行われているようです。愛媛で最も古い鉄筋コンクリート造の建築物は萬翠荘(1922・大正11年)といわれていますが、それよりも古い可能性も指摘されています。
いずれにしても、今治は空襲に遭ったこともあり、戦前の今治の様子を現在に伝える貴重な存在であることに違いありません。
大浴場。
ドーム状の屋根が高い天井高を創出し、空間に色濃い印象を与えます。
階段への開口部の周りを縁取る大理石の柱…?
いえ、実はこの縁取りは「マーブル技法」と呼ばれる大理石を模した左官の技法で、高い技術を要するのだそう。確かに大理石のような質感も感じられます。
かつては建物の柱など様々な部分がこのマーブル技法を用いて彩られていたそうですが、現在は塗装で塗りつぶされています。
今治ラヂウム温泉
■設計: 不詳
■所在地: 愛媛県今治市共栄町4-2-8
※施設は現在は閉館しており、一般公開はされていません。本記事は2017年5月の建物公開イベントにおける取材を基に作成しています。
0コメント